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資格・制度に関する話

ICTにおける各種試験制度を用いたキャリアパスについて

ここではICT(情報通信技術)における、資格試験制度を用いたキャリアパスの組み方の一例を説明します。 (ここで記載している内容は正攻法ではないので、正攻法に乗れるならそのほうが当然楽だと思いますが。)

まずそもそもの総論として、たとえば何らかの学位(例:大学を卒業した時の「学士」)や、何らかの資格試験にはそれぞれ、カリキュラムや出題範囲などの「学んでいる内容の範囲・深さ」が存在します。

顕著なケースではこのカリキュラムや出題範囲について、資格試験に代表される各種制度間でカリキュラムや出題範囲の包含関係が成立している場合、以下のような特典が受けられる事があります。

  • 受験資格の付与
  • 科目合格
  • 学士号を持たない人(大学を卒業していない人)の大学院入学資格が認定される(ことがある)

特に2つ目の科目合格は本来その科目を正攻法で受験するよりも往々にして楽になるケースである事もあるようです。 ここではITCに関連する国家資格で、そういった強みが大きく、さらに受験の前提条件が無いものを紹介します。

  • 情報処理技術者試験(応用情報技術者試験、各種高度試験(データベーススペシャリスト、ネットワークスペシャリストなど…))

  • 情報処理安全確保支援士試験 経済産業省が主管庁である情報処理に関する国家試験です。もともと歴史的な経緯として、第一種情報処理技術者試験がかつて情報処理技術者試験の最高難易度の試験であったことから、その時の名残が残っており、例えば弁理士試験や中小企業診断士試験では応用情報技術者試験以上の全ての試験で一部試験の免除が与えられているようです。

  • 電気通信主任技術者試験 総務省が主管庁である電気通信に関する国家試験です。

「電気通信主任技術者とは、事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関する事項を監督させるため、電気通信事業者によって選任された者である。 電気通信主任技術者は、原則として電気通信主任技術者資格者証の交付を受けた者のうちから、これを選任しなければならない(電気通信事業法第45条)」 また、伝送交換主任技術者と線路主任技術者の2種類の試験があるのですが、前者の伝送交換主任技術者試験に合格すると第一級陸上無線技術士試験の試験4科目中2科目の一部試験の免除が与えられます。

  • 第一級陸上無線技術士試験 総務省が主管庁である無線設備の技術操作に関する国家試験です。 なお、電波は公共の資産であるため、正しく有効活用する観点から原則、有資格者でなければ無線設備を使ってはいけないとされています。(特定小電力トランシーバーや、無線LAN等は、予め許可された誰でも使える周波数を使っています。)

第一級陸上無線技術士は「無線設備の技術操作に関して最高」の資格であるとされています。 ほぼ全ての無線局の操作を行うための資格です。またいわゆる「技術士試験」とは全く関連性がない試験です。(海外の英語表記を日本語に直して日本に制度として持ってきた時にそういった訳となり、陸上無線技術士の制度運用が始まった後に技術士試験制度が始まったという歴史的な経緯があるそうで…) なお、「最高の資格」なので特典もすさまじく、取得しているだけで高等学校教諭一種(工業)、中学校教諭二種(職業)の助教諭の臨時免許状が取れ、3年の業務経験があれば高等学校教諭一種(工業)、中学校教諭二種(職業)の普通免許状が取れるのだそうで…

ただしこれらは一般の人からすると特殊な試験で、試験難易度は総じて高いものです。 こういったスキルセットの組み方もあるという事を知っておく点では有用なのですが難易度も極めて高いので、やはり近道は無いという事かと思います。

[column] 最上級資格で操作できないバグ?

余談ですが、第一級陸上無線技術士は「無線設備の技術操作に関して最高」であるにも関わらず、その権限では操作できない無線設備が存在します。

ではどんな設備が操作できないかというと、アマチュア無線技士1級~3級の範囲に含まれるものなのですが、これは第一級陸上無線技術士の法規の試験において、アマチュア無線技士1級~3級の法規の試験で問われる「国際法規(国際電気通信連合憲章・同条約および同憲章に規定する無線通信規則)」および「モールス符号に関する知識」の出題が無い事から、操作の権限が与えられていないんだそうです。 最高位の資格であっても、試験範囲の関係でこういう事になってしまうのは面白いですね。

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