Skip to content

Latest commit

 

History

History
1017 lines (559 loc) · 92.9 KB

chap-remote-work.md

File metadata and controls

1017 lines (559 loc) · 92.9 KB

リモートワーク(テレワーク)

リモートワークとは、会社以外の場所(自宅)からリモート(遠隔)で仕事をすることです。テレワーク1のほうが一般的な呼び名になっていますが、ぶっちゃけダサいので、本書ではリモートワークと呼ぶことにします。

職場に集まって働く旧来のスタイルを、ひとまずこの章ではオフラインワークと呼びます。

仕事をする場合、オフラインワークでも、リモートワークでも、やること自体はそんなに変わりませんが、リモートワークにはいくつかの成立条件やコツがあります。この章ではそれらノウハウを余すことなく記します。以下、オンラインという単語もだいたいリモートと同じように捉えてもらって構いません。

コミュニケーション

リモートワークが成功するか否かは、コミュニケーションがとても大きな要素です。リモートワークに失敗する事例では、リモートワークに適したコミュニケーションができていない可能性が高いです。

人間関係の潤滑油である雑談をしよう

オフラインワークでもそれなりに雑談をする時間はあったことでしょう。休憩時間もあるはずですし、喫煙所もあれば、飲み会もあります。仕事中、雑談に興が乗ることもあります。雑談から思わぬ解決法が見つかることもあります。

リモートコミュニケーションでは、オフライン以上に雑談が重要です。

人と喋らず、もくもく仕事を自宅でこなしていると、気が滅入る人もいれば、本来必要だったコミュニケーション・情報共有が欠けることも珍しくありません。

想像してみてください。オフラインワークでシーンと静まり返っています。誰も声を出すことができず、物音を出すのもはばかる状況。8時間20営業日12ヶ月それが続くのって、しんどくないですか?

そういった状況では、本来必要だった情報共有も行われないでしょう。

そこで、必要なコミュニケーション・情報共有をするためにも、雑談をすることで敷居を下げましょう。

雑談をするための手段としては何があるでしょうか?

一つは Slack などテキストコミュニケーションによる会話です。

Slack であればおそらく #random という雑談用チャンネルがあるはずです。もし社員数が多すぎて #random で雑談をする勇気が持てない場合、もう少し小さい単位で雑談できるチャンネルがあってもいいでしょう。たとえば #tech_random というエンジニアのための雑談チャンネルであったり #team10_random というようなチームごとの雑談チャンネルです。

できるなら、大きい単位で気軽に雑談ができる雰囲気を作ったほうが有利です。そうじゃないと、仲良しグループみたいなものができてしまって、チームを超えた情報共有がしづらくなります。でも、それによって喋りづらい雰囲気ができてしまったり、文化の違うチーム同士で諍いが起きては元も子もありません。適切なサイズ感を見極める必要があります。

ただしテキストによる雑談では気をつけないとギスギスすることがあります2。通常のコミュニケーションならば言葉が足りていなくても声の調子や表情で伝わることがあります。

絵文字を活用するとよいですが決して万能ではありません。ほんの少しの彩りにしかなりません。

そこでおすすめしたいのが、音声雑談です。

音声雑談のススメ

有料契約している Slack では通常チャンネルでの音声通話3が可能です。雑談チャンネルなどで、カジュアルに音声通話を立ち上げるといいでしょう。喋るだけでも気持ちは変わります。「コロナでリモートオンリーになってから性格が変わってしまった」という人もいます。

音声通話をする良いツールに Discord4 があります。もともとゲームをする人たちが、ゲームをやりながら会話をするために使われるサービスで、Slack によく似た機能を持ちますが、特徴的な機能として、音声チャンネルというものがあります。

Slack の音声通話は、どこかのチャンネルやDMで「通話を始める」を選んで開始しますし、Zoomも指定URLにアクセスしてから通話を開始しますが、Discord なら音声チャンネルを常設可能です。

音声雑談が成功するかは、雑談をする際のハードルをどれだけ下げられるか?が鍵です。

  • 雑談に参加するときに誰がいるかがわからないと入りづらい
  • 雑談をしたいときにいちいちURLにアクセスすると面倒になる

常設していて、気まぐれに入れるくらいが望ましいです。現状では、このハードルを一番下げられるツールは Discord くらいしかありません。もちろん、業務用の Slack と別に立ち上げる以上、業務にまつわる会話をしないほうがいいでしょう。

なんなら、業務とは全く異なるコミュニティでもいいでしょう。あなたの所属する会社や学校とは異なるコミュニティで、あなたと気が合う、それでいて雑談に飢えている人はいるはずです。

Discord の難点は音質があまり良くない、画面共有が使いづらいなどがありますが、カジュアルな雑談をする程度なら、あまり問題にならないはずです。

ギスギスしないように、音声雑談、はじめてみませんか?

気軽に質問しよう

気軽に質問をしましょう。気軽な質問を過剰なまでに歓迎するくらいの空気を作りましょう。

リモートワークでの強敵は「ハマり」です。もちろんオフラインワークでもハマってしまうことはありますが、リモートだとオフライン以上にハマり状態は見えづらいものです。

それに、リモートでの質問自体は、オフラインよりも低コストですし、何より同じ状況にいる人にとって役立つものです。

同じタイミングで悩んでいる人がいれば、一人への回答で複数人の人が助かることになります。

同じタイミングではないとしても、オフラインコミュニケーションでは質問は揮発性のものですが、リモートコミュニケーションでは質問は流れてしまう5かもしれませんが、質問されたということ、それに誰かが答えた/誰も答えられなかったという記憶は残るはずです。質問そのものは流れたかもしれませんが、答えを誰かが知っているのか誰も知らないのかといった情報から、同じような状況に少し対処しやすくなります。

そもそも質問とは、状況、説明、仕組み、そういったものに何かしらの不足があるサインかもしれません。もちろん単に当人の不勉強が原因かもしれませんが、属人化されてしまっていた様々な情報を整理するチャンスでもあります。

気軽な質問をできる空気を作ることができれば、こういったサインを見逃さないチーム作りもできるでしょう。

基本はパブリック

オフラインワークの時代は、色々なことが秘密裏に決まることも珍しくありませんでした。座席で相談したこと、喫煙所での話し合い、そういったものはよくあるものです。それら過程は正確には残されず、成果物という形だけが残るのです。

リモートワークでは、過程を残すことも低コストで可能です。

DMやプライベートルームは原則、禁止とすべきです。そういった密談は、情報共有とは対極にあるものです。どうしても情報の取り扱いが問題になるようなもののみを限定共有という形にして、そうでないものは全て共有するほうが円滑に仕事が進みます。

もちろん、これは会社の文化もありますし、頑なにそれを拒む人もいるかもしれません。リモートワークに向いた会社とそうでない会社は、こういったところに現れます。情報を囲い込もうとする人、チームには警戒するとよいでしょう。

[column] 分報チャンネルのすすめ

分報は、次の記事で発表された取り組みです。Slackのようなチャットツールに分報という社内Twitterのようなチャンネルを作り、 個人ごとに分報用のチャンネルを作り今やっていることや困っていることを共有していくことでスピード感のある情報共有を行っていくものです。

Slackで簡単に「日報」ならぬ「分報」をチームで実現する3ステップ〜Problemが10分で解決するチャットを作ろう | | Craftsman Software Inc.

この分報という取り組みがリモートワークにうまくハマるものとなっています。

直近でリモートワークを始めた多くの企業では、Zoomなどのビデオ通話アプリを使って共有をすると思います。 しかし、ビデオ通話は「複数人が同時に参加する必要があり、アーカイブを確認しにくい」特性があります。 ビデオ通話を立てるには、時間をあわせるする必要があり、進捗の共有や悩みの相談だけで通話を始めるには抵抗がある方も多いでしょう。

このコミュニケーションを埋められるのが分報です。自分だけのチャンネルに投稿し、周りの人は時間が出来たタイミングで見るだけです。 誰にとってもコストが低く、オフラインワークと比べて欠落した情報共有を埋めることが出来るのです。

会社によって合わないこともあるかもしれませんが、部署やチームといった単位でも始められる取り組みです。 まずは、小さく始めてみるのもいいでしょう。

[/column]

情報共有

どういう仕事のスタイルにせよ、情報共有は重要です。

電子化されていない職場での情報共有にはとても大きなコストがかかりますが、リモートワークのような電子化前提の環境では、古い仕組みよりはよほど情報共有のコストが下がるでしょう。

ただし、情報共有は勝手に行われるものではありません。何かしらの仕組みを作らなければ、情報共有をしようというモチベーションは発生しづらいものです。

また情報共有をしていても、それが埋もれてしまえば、実際には共有されていないのと同じになってしまいます。

適切な情報共有の仕組みがあれば、仕事の効率を下げる諸問題に対処しやすくなります。たとえばハマりどころがあったとしても、同じところでハマるということを避けられるでしょう。

逆にいうと、適切な情報共有をしていなければ、同じところでハマる、誰かが解決方法を知っているのにハマるといった無駄が生じる可能性が増します。よほど優秀な人材が揃っていればそのようなことは無いかもしれませんが、そういう奇跡の類いを期待するよりは、情報共有の仕組みを整えるほうがよいでしょう。

情報共有は全体の生産性を上げるためのものです。

  • 情報共有を妨げる要因を排除する(マイナス要因を無くす)
  • 情報共有を促す仕組みを作る(プラス要因を作る)
  • 共有された情報を探しやすくする

この節ではこれらについて解説します。

情報共有を妨げる要因を排除する

情報共有を妨げる要因はいろいろあります。

たとえば、情報共有に手間がかかると、それは妨げる要因になります。気軽に情報共有をできるようにしておくべきでしょう。これは前述の、コミュニケーションが滞れば情報が出てこないという話と同様です。面倒な手続きがあるようならそれは取っ払うべきです。

文化的に情報共有を妨げることもあります。失敗を報告しづらい文化であれば、失敗に関する情報共有は期待できないでしょう。失敗は本来、とても重要な情報源です。

情報共有を促す仕組みを作る

情報共有をすれば自分にとってプラスになるようになれば、情報共有は促されるでしょう。

多くの会社・組織にとって情報共有そのものは目的ではないため、情報共有に直接のインセンティブを設定しづらいですが、情報共有が重要であるという合意が取れれば、評価基準に組み込みやすくなります。

たとえばいい情報を共有した人に何かしら評価が付く仕組みを用意するという方法があるでしょう。ドキュメント共有システムによっては「イイネ」を付けられるようなものもあります。

情報を共有することでチームとして作業しやすくなれば、チームとして活動する自分に跳ね返ってくるでしょう。チームのオンボーディング6がスムーズになるような情報共有をすれば、チームに人員が不足しがちな現場では、即戦力を得て、自分の負担が減るというモチベーションになるかもしれません。

共有された情報を探しやすくする

たとえば情報を探しやすくするようにするためのドキュメント(ページなど)を作るという方法があります。チームに入った人間が最初に見るべきドキュメントを作成し、そのドキュメントから必要な他のドキュメントへのハイパーリンクを作成したり、解説をまとめたりしておいて、そのURLを適切な場所においておくようにします。

ディレクトリ型のシステムであれば、適切なディレクトリ構成をメンテナンスすれば、たどり着きやすいでしょう。

タグのあるシステムでは、適切なタグを付けるように心がける、タグ付けのガイドラインを提示する、ドキュメントを漁って適切なタグを付与する(メンテナンスする)というような方法がとれるでしょう。

[column] 自主的に動くことの重要性

リモートワークでは自主的に動ける人が強いです。自主的に動かないと、周りからも評価されにくいというのはあります。

特に情報共有などでは、ボトムアップで動かないと、ずっと使いづらいままになりがちです。

組織としてそういった活動を評価できるべきですが、そうなっていない場合でも、自主的に情報共有をしていくほうが、メンバー各自にとっても働きやすいはずです。

[/column]

[column] 画像・動画を効果的につかってコミュニケーションを取る @mottox2

仕事におけるコミュニケーションの方法には、対面、ビデオ通話(ex. Zoom)、テキスト(ex. Slack)がありますが、伝わる情報量は後にあげたものの方が小さくなります。 そうです、Slackでは、思ったより伝わる情報量は大きくありません。ビデオ通話をすればテキストで伝わらない情報を伝えることが出来ますが、テキストによる「非同期」というメリットが失われます。このデメリットを回避して、Slackで伝える情報量を上げるポイントは「画像」と「動画」をうまく使うことです。

特に覚えておきたい画像の活用法は2つあります。 1つ目は、スクリーンショットです。画面に写っている要素を画像にして共有する方法を覚えておきましょう。WindowsもmacOSもそれぞれOS標準でスクリーンショットを取る方法が用意されています。作っているものや、操作方法を伝える際に便利なのでぜひ活用しましょう。それに加えて、矢印や四角形を加えると更に伝わりやすい画像になります。 2つ目は、テキストで伝えられない図を作って共有する方法です。これはPowerPointやKeynoteなどのプレゼンテーションツールを使ったり、SketchやFigmaのようなデザインツールを使って図を書き共有します。最初は難しいかもしれませんが、習熟すると手軽に図をかけるようになります。

これらの方法を覚えることで、ビデオ通話のようにお互いに時間を合わせなくても伝えられる情報量を増やすことができます。リモート時代の小技として覚えておくに越したことはありません。

[/column]

[column] 最近のNASは情報共有にもかなり使える

社内でSynology社のNASを使っているのですが、小規模の会社であればこういうものも非常に有用ではないかと思います。NASなので保存データの冗長化はされますし、2台並べて使えば簡単なフォールトトレラント構成も取れるようです。

また、最近の高機能NASは様々な機能を追加できるようになっていて、ファイル共有以外にもメールサーバを立てたり、Slackクローンのアプリを入れてチャット機能を使ったり、極めつけはVMまで動きます…。(弊社で使ってるのはファイル共有・チャットぐらいなのですが。)

“Synology社のNAS“

なお、自宅ではQNAP社のNASを使っていますが、ほぼほぼ同様の機能がこちらにもあるようです。 (QNAP社のNASのほうがホームユースに多少寄っているようで、デフォルト設定だと電源落とす時に「Shuting down!」とか流暢な英語でいきなり鳴き出します。なお英語と中国語でしか鳴いてくれません… 日本語入れてほしいなぁ。あと、大きな差として初回セットアップの時にはインターネット接続が必須だった覚えがあります。クローズドな環境では少し使いにくいかもしれませんね。)

NASも安い構成だとストレージ込みで10万もしませんし、Synology社のNASに関しては本体がハードウェア損傷しても原則的には同型機にストレージを移植すれば復旧するらしいので、大丈夫そうではあります。

(一応サポートセンターに聞いてそういう対応で復旧できる旨の回答は得ていて、更に貸与機を使わせて頂いて復旧検証を試してみた結果もちゃんと復旧はしてました。本番でクラッシュして戻らないと悲惨なので、更に冗長化やリカバリは検討しておいたほうが良い気はしますけどね。)

サーバ管理者が明確にいないような会社であればこういう仕掛けを使って楽をするのもありかもしれませんね。

なお、Synology社に関してはたしか2019年からだったかと思いますが、日本法人も立ち上がり、日本語でのサポートもちゃんと対応してくれますよ。 質問投げた時も反応早くて的確でした。そういった意味でも個人的にはオススメできますね。

最近ですと、QNAP社のNASで動かせるVM環境でVMがライブマイグレーションできるようになった7ようです。

もはやNASとは?一体? という感じになってきていますね。(筆者はQNAP社のNASを複数持っているわけではないので試せていませんが…)

昨今、NASなのにメモリの搭載量が8GとかあるNASが多くなってきていますが、どうもVM環境のニーズに応えるという理由も大きいようですね。

[/column]

働き方

今度はリモートワークでの働き方そのものにフォーカスをあててみましょう。在宅で仕事をする場合、気分の切り替えがとても重要になります。気をつけないと、仕事と生活の境界線が曖昧になってしまいますし、同じ状況が続くとしんどいと感じる人もいます。

1日の休憩時間を設定する   

リモートワークにおいて自宅は職場であると共に私生活の空間でもあるため、同じ空間の中でONとOFFのメリハリをハッキリつける必要があります。

スイッチの切り替えをおざなりにしていると、仕事が間延びしたり、食事や休憩の時間や作業終了時刻が予定とズレてしまったりするからです。

スイッチの切り替え方のひとつとしてオススメしたい方法は、1日のどのタイミングでどう休憩するかを記した「休憩時間割」を作成することです。

休憩時間割は頭のリフレッシュと作業の区切り付けを目的として作成します。

一例を挙げると、「毎時0分になったらコップに水を注いで飲む」や、「15時0分になったら3分間ストレッチをする」、「16時0分になったら小皿に素煎り大豆を盛る」などです。

特に「水を飲む」行為はオススメで、ぼうっとした脳をクリアな状態に戻せる効果があります。

作成の際は、「休憩」とだけ書くのではなく、それを見れば何をすればいいのか一意に理解できるように書くことを意識しましょう。

休憩のときに「何をして休憩しよう」と悩んで無駄に脳を消耗させないようにするためです。

これを作ることで、リモートワーク特有の問題である仕事の間延びや思考力の浪費を防ぐことができます。

また、細かく小休止を取り入れることで頭の整理時間を設けることもできます。

指定時刻に確実に休憩できるよう、デスクトップ通知やアラームを起動してくれるような媒体で時間割を作成するといいかもしれませんね。

[column] ポモドーロテクニック @erukiti

過去のワンストップシリーズでも散々説明されているポモドーロテクニックを目安にするという方法もあります。

タイマーを用意して25分集中、5分休憩を繰り返すというもので、これを何回か繰り返したら長時間休憩を入れるというものです。erukiti の個人的体験では、休憩時間は5分、10分、5分、15〜30分位の繰り返しがちょうどよいかなーと思います。

やってみるとわかりますが、本気で何回かやると、かなり疲れます。

時間割の方がオンライン会議と時間を合わせやすいという利点はあります。

オンライン会議がない日や、空いた時間が多い時にはポモドーロテクニックをしてみてもいいかもしれません。

人によって向き・不向きや好みがあると思うので色々試してみてください。日によって切り替えるというのも、気持ちの切り替えとして働くかもしれません。

[/column]

働きすぎない

労働と生活のスイッチが難しいという性質上、リモートワークでは働きすぎることが度々生じます。「キリのいいところまで」で時間が伸びることもありますし「お腹があまり空いてない」で伸びることもあります。結果、食事の時間が不定期になったり食べ損ねたりすることがあります。

自分の中できっちり区切りを付けることを意識した方がいいでしょう。12時になったら作業を打ち切ってでもおひるごはんを食べる、あるいは区切りの良いところまでといいつつ、12時半には区切りがよかろうと悪かろうと打ち切るなど、自分ルールを決めてみるのもよいでしょう。

気分の切り替え方

人によって気分の切り替え方はさまざまです。ここに挙げるのは一例です。

服を着替える

仕事モードの服を用意してもいいでしょう。カメラで自分の姿を映さないのであれば、いっそコスプレをしてもいいかもしれません8

ここで大切なことはスイッチを切り替えることです。自分の気持ちが最高にアガるような服装を見つけるといいでしょう。

休憩時間の切り替えをどうするかは悩ましいものです。リモートワークと定時労働は相性が悪いですが、どうしても会社との契約上、定時労働をしなければいけない場合は休憩時間も服装を変える必要はないでしょう。

ちょっとした小物でスイッチを切り替えるというのもありでしょう。たとえばネクタイをしてる人であれば、休憩時間はネクタイを緩めるとかです。社員証があれば、首からぶら下げてる時間を労働モードとするというのもありでしょう。

美味しいお茶を飲む

もちろんお茶じゃなくても、コーヒーでもジュースでも青汁でもなんでも構いません。どうせなら少し高めのお茶を買ってみてもいいでしょう。

お茶請けに美味しいお菓子を用意してもいいかもしれません。頭脳労働には甘いものが有効です。

香りを楽しむ

香りは意外とバカにできません。脳は香りによってモードが切り替わるものです。前述の美味しいお茶を飲むというのも、香りを楽しむひとつの手段です。

自宅であれば人に気兼ねすることなくアロマを楽しめるでしょう。家族や同居人がいれば、迷惑をかけない範囲で、ですが。

体を動かす

椅子に座りっぱなしはとてもとても不健康です。在宅勤務に限りません。

最低でも、30分に一度は立ち上がりましょう。できればストレッチやヨガなどで体をほぐすといいでしょう。首や肩が凝っていませんか?

またVDT作業のガイドライン9でも、1時間以上の連続したPCなどのVDT機器の利用は健康に対する影響があるため、定期的な休憩が推奨されています。具体例として、1時間毎に10分から15分の休憩を挟むような作業スタイルが推奨されていますね。

音楽を流す

オフラインの職場よりは気兼ねなく音楽を聞けることでしょう。音楽は脳のモード切り替えにも大きな意味合いを持ちます。

歌詞のある歌を聞くのもいいですが、人によっては集中しづらいこともあります。その場合、筆者のオススメの1つはインスト曲、つまり人間の歌が入らない楽器だけの曲です。映画のサントラや、インスト曲専門バンドの曲などがあります。

2つめのおすすめは環境音です。雨音とかが有名かもしれませんが、カフェの音、雑踏の音というものもあります。

音楽は脳のモードを切り替えると書いた通り、同じ音楽を聞き続けるとモードが固定化されてしまいます。気分転換という意味では、モード切り替え時に、音楽の種別を変えるべきでしょう。

  • 起きたときの音楽
  • 仕事中(集中モード)の音楽
  • 仕事中(発散的思考モード)の音楽
  • 仕事をまとめるときの音楽
  • プライベートモードに切り替える音楽
  • 寝る前の音楽

こういうモード切り替えをしてみてもいいかもしれません。これは音楽に限らず、匂いや飲み物も効果的です。

楽しむこと

あれこれ気分転換の方法を書いてみましたが、どれにも共通することは楽しむことです。自分なりの楽しみを見つけてください。

リモートワークを支えるソフトウェア

リモートワークでもオフラインワークでも、実は使うソフトウェアにさほど違いはありません。実際この節で挙げるツールはオフラインワークでも普通に使われているものがほとんどです。

コミュニケーションツール

Slack, Discord, Zoom, Chatwork, Microsoft Teams などが有名どころでしょうか。

Slack を使っている企業が多いでしょう。企業のコミュニケーションツールでは全世界的に定番となっています。無料版ではなくちゃんと課金をしている場合、Slack 通話が便利です。音声通話・ビデオ・画面共有などが行なえます。

Discord は音声通話に強いツールです。ゲーマーやオンラインコミュニティ向けのサービスなため、会社・組織では採用しづらいかもしれません。Discord は Slack に先駆けて音声通話をサービスし続けてきた歴史があります。最近では GoLive という画面共有を行える仕組みもあります。SlackだとワークプレースごとにIDとパスワードが異なりますが、Discord なら1IDで、どのサーバーにも参加することができるのでオープンソースコミュニティやプライベートコミュニティなどに向いています。

Zoom は通話に特化したサービスで、コロナによりユーザー数が数十倍に増えたという大躍進をしています。セキュリティリスクが見つかったり顕在化もしていますが、本稿執筆時点10では、セキュリティ改善に力を入れている最中です。

Chatwork や Microsoft Teams は色々な機能が統合されたサービスです。大きめの会社ではこちらが採用されることも少なくありません。Microsoft OFFICE(Word,Excel,PowerPoint)を常用するような会社では特に多い気がします。ビデオ、画面共有、ファイルの共有などもできますし、PowerPointなどとの親和性も高いといえます。それでもファイルに相性があったり直接編集できなくてストレスがたまったりすることもあります。

ビデオ通話でネックになりがちなのが回線速度です。回線の遅い人がいる場合はビデオ通話をオフにできるならオフにしたほうがスムーズに通話できます。コロナ状況下では、大抵の人は自宅からの接続となるでしょうが、LTEテザリングやADSLなど回線が貧弱な場合、問題になることがあります。

ドキュメントツール

Google Document や esa, Qiita team, DocBase などが有名どころでしょうか。他にも星の数ほどある激戦ジャンルです。

これらドキュメントツールの特徴としては、同時編集をサポートしていることが多いですが、サービスによって同時編集の使い勝手が違うことは注意したほうがいいでしょう。

  • 他のひとの編集によって自分のカーソルが変な位置に移動しない
  • 保存ボタンを押したときに、他の人の環境でコンフリクトを起こさない
  • 多人数編集で重くならない

などが分かりやすい判断基準となるでしょう。

[column] 同時編集の評価 @erukiti

同時編集の優秀さを2020年5月2日時点で判断すると DocBase > esa > hackmd > scrapbox です。DocBase は多人数で同時に編集しまくって困ったことが発生しません。編集のリアルタイム反映も文句無いですし、誰が保存ボタンを押しても大丈夫です。esa はそれに少し劣る感じで、hackmd は多人数でいじると結構カーソルが不思議な位置に移動します。scrapbox は多人数編集をするとストレスを強く感じました。

※あくまで erukiti の評価です。参考までに

オフィスソフトの共有は大変

Markdownなどのプレーンテキストをベースにしたドキュメントツールならよいですが、Japanese Traditional CompanyではいまだにWord,Excel,PowerPointが幅を利かせています。これらを使って仕事をする場合は、やはりリモートワークになったからといってあまり変わらない可能性があります。

誰かが作ったエクセルファイルをメール添付して送るといった事象が相変わらず主流である会社はいくらでもあります。「ファイルサーバーにおいてあるこれを更新してください」という形になっていても同時アクセスができなかったり、意図しない形でデータが消えたり、上書きされてしまったり・・・困ったことはいくらでも起こりえます。まだ各人がローカルで編集してメールで送りあう方が楽だったりします。結果として、ワークフォルダには、こんなファイルが並ぶわけです。

報告書20201025.xls
報告書20201025(山田追記).xls
報告書20201025(山田鈴木追記).xls
報告書20201025(提出版).xls
報告書20201025(部長確認済).xls
報告書20201025(最終提出版).xls
報告書20201025(最終提出版2).xls

Gitでの管理もしづらいし、OFFICE系ドキュメントツールの共有を効率化するソリューションが欲しいところです。それがないとリモートワークの効率の大幅改善は難しいと思います。こんな方法があるよ、があればぜひ教えてください。

ソースコードリポジトリサービス

GitHubの一人勝ちです。よほど強い理由でもなければGitHubを使いましょう。他の選択肢は面倒なだけです。

機材を整える

リモートワークでは環境整備、特にここでは機材について、働きやすい環境を整えたほうが良いでしょう。生産効率や健康面に直結します。

合わない椅子、机やキーボードを使っていると、体を壊してしまう可能性があります。デスクワークにおける職業病の1つに肩こり、腰、その他関節症候群があります。

通話環境

オンラインで通話できるツールはいくつも登場しています。最近ではZoomが有名どころですが、SlackやDiscordにも通話機能があります。音声通話・ビデオ通話それぞれありますが、どちらにせよ、音声がまず重要です。

多人数で音声通話をするとき、意外に問題になるのが通話用の機材です。

※絶対に本体マイクと本体スピーカーを同時に利用してはいけません

これは他人の声がエコーを起こしたりすることがあるためです。1人でもそういう人がいれば、全員の迷惑になります。必ずイヤフォンかヘッドセットなどを使いましょう。

本体マイクは性質上周りの声や音を拾いやすいため、家族がいる人は本体マイクを使うべきではありません

これらがあるため、マイク付きのイヤフォン(以下、イヤフォンマイク)かマイク付きのヘッドセットを強く推奨します。さらにいうとある程度の値段をかけるべきです。安物だとガチャになります。

品質の悪いマイクを使うと、他の人にとって聞き取りづらい、ノイズが乗りやすいという問題があるため、ある程度以上のクォリティのマイクが必須です。iPhoneを持ってる人は、付属の EarPods が文句なしなのですが、今の EarPods は全てケーブルが Lightning なため PC と繋ぐことができません。Android端末に付いているイヤフォンマイクは、ものによっては品質が悪いので注意しましょう。

ゲーミングヘッドセットを買うという選択肢もありますが、ヘッドセットの類いは長時間装着すると耳が蒸れることもあります。

また、選択肢としてイヤフォン・ヘッドセットには、有線と無線があります。無線は室内を動き回れますし便利ですが、バッテリの持ち時間という問題があります。短い通話なら大丈夫ですが、オンライン飲み会を検討する場合、バッテリ切れになることもあります。

PCのマイクを使う場合、イヤフォンをするだけでエコーが出ません。スマホや音楽プレーヤーに標準添付されているような安いイヤフォンでも、ないよりは1億倍マシです。

ただし、お使いのPCのがマイク入力に対応しているかという確認は必要です。普通のイヤフォンは3極(L、R、GND)ですが、ヘッドセットは4極(L、R、Mic、GND)です。PCによっては前面端子は3極なんてのがあるかもしれません。音拾えないなあ・・・と思ったら、そういう観点で確認してみてください。

また通話でネックになりがちなのがビデオ通話です。回線の遅い人がいる場合はビデオ通話をオフにできるならオフにしたほうがスムーズに通話できます。ビデオ通話において映像が占める通信帯域は相当なものです。特にアップロード帯域を食うので、それが問題になるような細い回線(通信容量に制限がある無線回線やADSLやCATVなどの細い回線)を使っている人は注意してください。

また、適宜ミュートを活用するようにしましょう。呼吸音、キータイプ音、服との擦過音などが入ることがあります。多人数の場合、妙に雑音レベルの高い人がいたりもします。手元ですぐにミュート切り替えできます。

[column] イヤホン・ヘッドホンでの長時間聴音難聴について @ふーれむ

イヤホン、ヘッドホンをつけて大音量で音を聞き続けると、耳の音を聴く細胞に不可逆的なダメージが入って、難聴になってしまうケースがあるそうです。

ちなみに対策としては以下のようなものがあるようですよ。

  • スピーカーでも聴く
  • 聴く音量を下げる
  • 左右交互に聴く

日常的にイヤホン、ヘッドホンを使っていると、つい音楽を聞きながら仕事をしたりもしてしまいがちですし、四六時中オンライン会議をされている方もいらっしゃるかと思いますが、 健康に気をつけてオンライン生活をしていきたいですね。

[/column]

[column] ノイズキャンセリングの落とし穴 @erukiti

AirPods Pro など、ノイズキャンセリングイヤフォン・ヘッドフォンが流行っています。雑音を遮断してくれるので集中するのにとても向いていますが、ノイズキャンセリングは仕組み上、耳にダメージがありえます。

ふーれむさんが書いているように、大音量の音を聞き続けるとダメージが入って、難聴になるということですが、ノイズキャンセリングだと音を相殺するため、あまり大音量の音を聞いている感覚がありませんが、耳へのダメージは通常のイヤフォン・ヘッドフォンよりも気をつけなければいけません。

仕組みとして音波を相殺する逆位相の音波をぶつけることで、音を聞こえなくしていますが、当然のことながらそれは人間の耳に聞き取れないというだけで、エネルギー自体が消えるわけではありません。

ノイズキャンセリングする場合は、通常のイヤフォン・ヘッドフォンよりも音量を落とすことをおすすめします。

[/column]

[column] イヤホン・ヘッドホンによる外耳炎 @おやかた

医師・医療従事者ではないので、こういう話もある、というレベルで聞いてほしいのですが、長時間イヤホン・ヘッドホンをつけることで、外耳炎になる例が増えているそうです。

特に耳に入れるタイプのイヤホンを使っている場合、また汚れている場合などに多いそうです。かゆみがあるとか、痛みがあるなどの場合は耳鼻科に相談しましょう。対策として、イヤホンをやめてヘッドホンにするとか、スピーカーを使うなど。あるいはリモート会議の時だけにするなどもよさそうですね。

仕事の様式が変わることで思いもよらないトラブルが出てくることも十分にあり得る話です。あれ?と思ったら病院行きましょう。

[/column]

[column] ハウリングのメカニズムについて @ふーれむ

本項で「絶対に本体マイクと本体スピーカーを同時に利用してはいけません」と記載されてますが、なぜこれがマズイのかについて 理由を説明しておきますね。

まず、同様のメカニズムで起きていて、理解しやすい事象で考えてみましょう。

たとえば小学校の頃の朝礼などで、ハウリングが起きているのを聞かれた方は多いかと思います。 ハウリングというのは、急に高いうなるような音が大音量でスピーカーから鳴る現象ですが、あの現象はどうやって発生しているのでしょうか?

ハウリングのメカニズム

①校長先生がマイクでしゃべる

②しゃべった音声がアンプで増幅される

③スピーカーでしゃべった内容が大きく発声される

④スピーカーから出た音声がマイクに拾われる(その後②~④を繰り返す)

この結果、音声がずっと帰還増幅され発振状態になり音が鳴り続ける という現象が起きています。

さて、このハウリングを止めるにはどうすればいいのでしょうか?

この②~④のループを何らかのアプローチで切れば良いのですが、これにはいくつかの方法があります。

  • アンプの増幅を抑える(と、マイクに入るスピーカーからの音量が減るので止まる)
  • スピーカーやマイクを指向性が強いものにして、スピーカーの音がマイクに入りにくいようにする(マイクに入るスピーカーからの音量が減るので同様に止まる)
  • スピーカーから出力した音声信号と同じ信号がマイクに入ってきたらディジタル処理で逆位相をぶつけて消す

実際筆者も、学校の放送委員会などで「スピーカーの前にマイク持って立たないようにね!」なんて指導を昔に聞いた覚えがあります。

当然、一般的なWeb会議システムもこういったノイズが発生することはわかっていて、前項の箇条書きで上げた3番目(ディジタル逆位相フィルタ)などは対策されているかと思います。 (されていなければPC1つでハウリングが起きかねないし、起きている筈ですので。)

ですが、Web会議ではWeb会議特有のノイズが発生してしまうのです。そのメカニズムを見てみましょう。

Web会議におけるエコーノイズ

①Aさんがマイクでしゃべる

②AさんPCからインターネット経由で会議しているBさんPCに音声信号が伝播する

③BさんPCから音声が発声される

④Bさんのいる部屋で音声が跳ね返る

⑤Bさんのいる部屋で跳ね返った音声がBさんPCのマイクに拾われる

⑥BさんPCからインターネット経由で会議しているAさんPCに音声信号が伝播する

⑦AさんPCから音声が発声される

⑧Aさんのいる部屋で音声が跳ね返る

⑨Aさんのいる部屋で跳ね返った音声がAさんPCのマイクに拾われる(ここから②~⑨を繰り返す)

さて、こういったエコーノイズを止めるにはどうすればいいでしょうか。

先程のハウリングのケースと対処法は似通うのですが、以下のような対処が有効だと考えられます。

  • PCのスピーカ音量を抑える、イヤホンを使う
  • スピーカーやマイクを指向性が強いものにし、スピーカーとマイクの位置、方向が被らないようにする(イヤホンマイク・ヘッドセットなどを使うのも良いですね。)
  • 発言しないときはこまめにミュートにする

なお、先に例としてあげたディジタル逆位相フィルタは同一PCのスピーカー、マイクぐらいの距離であれば位相や波形形状もそれなりに合うので有効ですが、 空中を伝搬し、壁に反射して帰ってくる音声までは対処しにくいと考えられます。 (壁の位置がどこにあって、どれだけの時間差で反射音声がマイクに入ってくるかは環境による差が大きすぎて恐らく単純な処理としては実装できない為)

また、一般的なノートPCだと、Web会議で1台のPCを使って複数人が会議しやすいように…というニーズもある事から、 スピーカーやマイクは無指向性に近いものが採用されているはずで、そういったノートPCならではの特徴もこの問題に寄与していると考えられます。

ちなみに、本コラムを書いている筆者が、実際にZOOM勉強会で見たエコーノイズが起きているケースですと、講師の方が2台のPCでZOOMにログオンされていて、1台は講義用、1台は講義のモニター用として使われていたのですが、講義モニターのPCで本体スピーカーを用い、講義用PCでマイクを入力されていた結果、エコーノイズが発生する状況になってしまっていました。

また、どんな会議体や形態にはかかわらず、エコーノイズについては原理的に参加者全員がイヤホンやヘッドホンをつけてしまえば、確実に防げるものです。参考にしてみてくださいね。

[/column]

椅子

椅子はケチらないことを強く強く推奨します。好みがあるでしょうが、座面はメッシュタイプが良いでしょう。メッシュタイプ以外の椅子は蒸れます。あなたが安物の椅子を使って失う健康を考えれば、10万円クラスの椅子を買っても元が取れるはずです。

イス選びは、コロナのいま難しいかもしれませんが、椅子の試用ができるお店で実際に座ってみるのが一番です。

変わり種としてはバランスボールがあります。体幹の強さに左右されますが、慣れれば長時間バランスボールでも作業できるようになるでしょう。もしバランスボールを続けられないのであれば、体を動かしたほうがいいでしょう。まずは散歩からしましょう。背筋もピンと伸びます。

[column] バランスボールのススメ @おやかた

4月中旬から遅ればせながら原則リモートワークになったへーしゃですが、それより先に完全リモートワークになっていた妻と椅子の取り合いが勃発しました。椅子が重要であるというのは理解するところですが、いくつもオフィスチェアがあるというのは正直邪魔ですよね。

そこで採用したのがバランスボール。めちゃめちゃ快適です。前記のように、本当に背筋がのびて肩こりが軽快しました。あと、空気椅子が非常に簡単にできるので、太ももや腰周りのトレーニングも同時にできます。大きめの奴がいいです。

なお、最初に買った奴はテーブルに対してだいぶ低かったので、作業用椅子としては難がありました。XL(75cm)のバランスボールを買ってから、QOLがだいぶ上がりました。

バランスボールは2千円くらいです。高い椅子は5万から10万、あるいはそれ以上しますし、室内でもかさばります。使わなくなったら空気を抜いておいたり、一時的には天井の角に挟んでおくことで邪魔にもなりません(時々落ちてくるのでご注意!)

ダイニングチェアで無理くりリモートワークをしていて腰がやばそうな人は、ぜひバランスボールを!超おすすめです!

[/column]

[column] 竹のチェアマットも蒸れ防止にはいいですよ @ふーれむ

すこしオンライン生活とは違う話になってしまうかもしれませんが、すでに使っている椅子が蒸れるタイプだった場合に、蒸れ防止に竹のチェアマットを敷く手もあります。

「竹 マット 椅子」ぐらいのキーワードで検索すれば、実売1,500円ぐらいで購入できますよ。

職場の椅子が蒸れるタイプで非常に困ってしまったので愛用していますが、非常に快適で良いです。(通気性が良すぎて少し涼しくなってしまうので、冬などは向かないかもしれませんが。)

蒸れたくない人には竹マット、おすすめです。

[/column]

ディスプレイ

その人の視野角などに左右されますが、大きなディスプレイや、マルチディスプレイは、生産効率に直結します。

少なくともノートパソコンの小さなディスプレイでしか仕事をしたことがないような人は、一度大きなディスプレイなどを体験してみるべきでしょう。

ディスプレイ選びは、サイズと解像度とメーカーです。

Macを使ってる人は特に解像度の高いディスプレイをオススメします。Retinaにより解像度の高いディスプレイでも、文字のサイズをコントロールしやすいためです。Windowsも最近はHiDPI対応が進んできたので問題は少なくなっているでしょう。

動かすアプリケーションによっては解像度が上がると、本体性能がついていかないという事例もあるのでその点は要注意です。

サイズは、できれば27〜34インチクラスはあったほうが望ましいでしょう。

ディスプレイを追加で用意する場合に問題になりやすいのが場所です。これはディスプレイアームで解決することもあります。ディスプレイアームがあれば空中がディスプレイ置き場になるからです。机を広く使えることにもなります。このときディスプレイアームはエルゴトロンを強く推奨します。安物を買うと絶対に後悔するでしょう。

ディスプレイのメーカーはもう好みでいいと思います。昔であれば日本製にこだわるべきでしたが、現代ではもう日本より海外勢のほうが技術力が高いことも珍しくありません。選ぶときには、評判を検索したり、可能であれば店頭で実際に見たほうがいいです。

意外なサブディスプレイにはiPadがあります。今のmacOSであればiPadを簡単にサブディスプレイにできるので、MacとiPadがあれば、一度試してみてください。ペン入力も可能です。

[column] モニタについての悩み

現在常用していたモニタは24インチクラスのFullHD(1920×1080)でした。リモートワークを機会に大きいモニタが欲しいと思ったのですが、困ったのは余ったモニタの処遇。

買ってからしばらく経過しているため、もはや箱はありません。ヤフオクやメルカリに出すにしても、梱包が必要で、ダンボールの調達からして面倒。中古屋に持っていくこともできません。

他に転用しようにも用途がありません。ChromeCastやAmazonFireStickTVをつないでテレビとして使うというというのもない話ではないですが、すでにテレビなどの視聴デバイスは余ってます。

そうかといって、捨てるにはちと勿体無いですよね。

そして、机の上には新しいモニタがくるから置いてはおけない・・・家の中にもそんなスペースはありません。中途半端なサイズのモニタの処遇は悩ましいものです。

こういったケースでは、モニターアームを使ってモニターを吊る手がありますね。今、一般的に流通している液晶などの薄型モニターはほとんどがVESA規格に対応しており、ネジでモニターアームにマウントできるようになっています。(液晶テレビもほぼほぼマウント穴がついていて同様にマウントできます。)

モニターアームをつかってモニターを吊る事で、メインモニターの横にサブモニターを本来だとありえない配置で増設することができますので、例えばSlackなどのコミュニケーションツールをそちらに表示として逃しておくなどするだけでも、大分作業効率が上がるはずですよ。

更に、こういう時だけ使う前提であれば、プロジェクターを使うという手もありますね。 (ただし安い中華プロジェクターとかだとHDMI対応しているくせに800x480とかしか解像度が対応していないケースがあるので、内部的にどの解像度まで対応しているかはよく見ておきましょう。またサブディスプレイ側のプロジェクターに設定している解像度をあえて下げて、対応解像度にしてしまえば画素が省略されずに描画されます。そういった事をわかった上で、割り切り前提であれば意外に使えたりはしますよ。)

[/column]

[column] 縦置きモニタのススメ

マルチモニタにする場合、モニタの1枚は縦置きにしてみましょう。

最近のディスプレーは、ほとんどがワイド型になっていてます。10年以上前は4:3型が多かったのですが、最近は16:9がほとんどです。画素数は順調に増えているのですが、横の画素数の増え方に対して、縦の画素数は案外増えていません。そうなると、縦の高さが足りなくなってしまいます。

一方で、実際の仕事におけるモニタの利用を考えると、文字の閲覧という用途はやはり多いと言えるでしょう。文書ファイルの表示、コードの表示、Webサイトも、縦に情報が伸びています。本は縦長ですから、電子書籍も縦長になります。PDFなどの文書も用紙を縦長に使うことが自然と多くなってしまいます。明確に横長な文書といえば、PowerPointなどの映写用スライドくらいではないでしょうか?

そこで、2枚以上ある場合に、1台を縦に置くことで、縦の高さを十分に稼ぐことができます。スクロールの回数が減るので、想像以上に便利になります。

また、付帯的な効果として、1枚を縦にすることで、デスクにモニタを2枚置いても、横幅がだいぶ節約できます。広いモニタ(例えば4k)を1枚で使うか、2kを2枚に使うかといった議論がなされることがありますが、私は多少狭くても2画面派です。特に1枚は横置き、1枚は縦置きにすることで、閲覧などは縦置き側、といった自然な使い分けができます。また画素が細かくなりすぎないというメリットもあります。

[/column]

キーボード

人によるのでしょうが、PC付属のペラいキーボードでは手を痛めるような人もいます。自宅ならキータイプ音で迷惑をかけづらいので、メカニカルスイッチを使ったキーボードも遠慮なく使えることでしょう。

  • メカニカルスイッチ系
  • 無接点系(東プレのRealforceなど)
  • パンタグラフ・シザー式(AppleのMagic Keyboardやノートパソコン)

キーボードでの選択基準は、打鍵感、キーストローク、配列などです。生産効率が劇的に変わるわけではありませんが、ストレスの度合いは大きく変わります。

ただし、現在、お店の店頭で打鍵感触を確認して買うということができない状況にあります。打鍵感などは特に好みの分かれる部分ですし、ある程度使ってみて合う合わないが出てくるところですから、レビューなどを確認しつつ買うとしても、合わないと思ったらスパッと乗り換えてみるのも一つの選択です。

また、チルトスタンドを調整するとか、手前にクッションを入れるなどのカスタマイズも快適に使うための一つの方法です。手が浮いているとどうしても手首に負担がかかります。それから、KBの位置も結構重要です。体から離れすぎると、姿勢が悪くなりがちになりますから、思い切ってKBを体(お腹)に近づけると、背中が丸まらず肩が内側に入らないため肩凝りになりにくくなるなどという話もあります。いずれにせよ、自分に取って使いやすい、楽な姿勢、セッティングを模索してみましょう。

もし可能であれば、会社と自宅で同型キーボードを2枚同じ物を準備し、同様に使えるようにするとなお良くなります。 結構キーボードは使えば使うほど慣れていき、操作も最適化してしまうものなので、キーボードを複数種類切り替えるのはストレスを感じていないようで意外にストレスになっているような気がします。 同型キーボードを複数枚準備し、それぞれの環境で使えるようにしておけばこのストレスからも開放されますね。

[column] 左右分割式のススメ

最近、自作キーボードをはじめとして、左右分割型のキーボードが一部の人で流行っていますが、なぜそういうキーボードを使うのでしょうか?

それは、肩や肩甲骨を広げるためです。通常のキーボードを使っていると、肩幅よりも狭い範囲で手を動かすことになります。そのため、肩甲骨や肩が縮こまって筋肉が緊張し、肩や胸・背中の筋肉が凝ってしまいます。

左右分割式キーボードなら、そういったトラブルを解決できます。

自作キーボードなら「遊舎工房」が有名です。もともとは自作キーボード界隈で有名な同人サークルでしたが、秋葉原(正しくは末広町)に店舗を構えていたり、https://yushakobo.jp/ で通販をやっています。はんだ付けが苦にならない人なら自作キーボードは楽しいです。

[/column]

マウス・トラックパッド・トラックボール

これはもうまったくもって好みでいいでしょう。一般的に Mac ならトラックパッドが使いやすく、ゲーマーならゲーミングマウスしか選択肢はないかもしれません。トラックボールは愛用している人はもう手放せないという話もよく聞きます。色々試してみるといいでしょう。

個人的には、ワイヤレスなものをお勧めします。線がないという快適さはかなりポイント高いです。専用のレシーバーをUSBポートに挿すタイプと、Bluetooth接続のやつがあります。接続の確実性からいくと専用レシーバータイプ、ノートPCでレシーバーが飛び出す(といっても、5mmとか7mmですが)のが嫌ということならBluetoothタイプがお勧めです。

[column] トラックバックとトラックボール併用のススメ @mottox2

複数台の大きいディスプレイを使うと、ディスプレイをまたいだ操作をするのに大きな動きを要求される一方で、デザインツールなどで細かい操作を要求されることがあります。

その課題に対応するために用意したのが、トラックパッドとトラックボールの併用です。

トラックパッドはジェスチャー操作や細かい移動、トラックボールは感度を高めに設定し大きな移動に対応させています。

筆者自身かなり快適と感じています。1つに絞るという考え方にとらわれず最高の環境を目指してください!

Webカメラ

ビデオ通話を行うためには、WebカメラまたはPC本体内蔵のカメラが必要です。最近のPCなら大抵付いているでしょうか。ただし、会社支給のPCなどでは、セキュリティ上の懸念からオプションとして外してある場合があります。その場合、別途入手が必要ですね。

さて、機材としては、PC内蔵カメラまたは市販のWebカメラがあれば問題ありません。ただし、安価なWebカメラは昨今のリモートワーク急拡大に伴い品薄気味なようですね。

ここで触れたいのは、果たして仕事上のPC会議において話者の顔を映すためのカメラは必要か、という観点です。筆者個人としては、「必要ない」と考えます。なんのために顔を表示するのでしょうか?顔色を見ながら話をするため?元気かどうか見るため?

ちゃんと働いている(PCの前にいること)を管理するため?ちゃんとした格好で業務していることを監視するため?いずれもクソくらえですね。

ビデオ通話で相談、会議をする時、PC画面の共有は必要な場合が多いでしょう。共通のスライドや資料を共有したり、今ここについて議論しています、とPC画面の共有表示することは必要でしょう。ですが、顔には大した情報は含まれません。むしろ、その人のプライバシーの侵害と、無用な管理、帯域の圧迫とデメリットしかないのではないでしょうか。

そして、そういうことを強く主張するような上司、会社には、見切りをつける時かもしれません。

インターネット回線

リモートワークの機材として最重要かもしれないのがインターネット回線です。もし可能なら光ファイバーを引きましょう。

  1. 回線の安定性
  2. 上り帯域の広く、アップロードが早い
  3. レイテンシの低さ
  4. 下り帯域が広く、ダウンロードが早い

これらはリモートワークのクォリティに直結する順番です。つまり1つめの回線の安定性が最重要で、4つめの下り帯域はさほど重要ではありません。

回線の安定性

まず1つめの回線の安定性から説明します。

光ファイバー以外の方式である、ケーブルテレビ、ADSL、無線ネットワーク(WiMAX, LTEなど)では、どうしても仕組み上安定性は光ファイバーに劣ります。

ぶちぶち切れると、リモートワークではストレスがマッハですが、光ファイバーでは、自宅に引き込んだ光ファイバーに変なテンションをかけたり、ルーターを熱暴走させたり、運悪くネットワーク障害にあたらない限りは安定してインターネットを利用できます。

上り帯域の広さ

2つめの上り帯域の広さ、つまりアップロード速度は、リモートワークでは回線の安定性の次に重要です。

上り帯域が狭いと、ビデオ通話をしていると「妙に音声や映像が途切れる」が生じることがあります。自分では気づかずに相手に指摘されてはじめて分かるものです。また、成果物をアップロードする時にも、もちろん上り帯域は重要です。

そもそも、光ファイバー以外の方式では、たいてい上り帯域を犠牲にしています。CATVはテレビの配信のための仕組みを流用したものですし、ADSLはわざと上り帯域を削って下り帯域をひねり出してますし、LTEも同様です。

レイテンシの低さ

3つめのレイテンシの低さは、ガチのゲーマーがよく気にするものですが、インタラクティブな何かをする時には存外バカにできないものです。他の方式を使ってレイテンシが高い場合、地味にストレスになることがあります。

これも光ファイバーに分があります。

下り帯域の広さ

4つめの下り帯域の広さは、職種次第でしょう。画像や動画を大量にやりとりするというような場合、帯域が広い、つまりダウンロード速度が遅いとストレスにしかなりません。あと、ソフトウェアをアップデートするときには下り帯域が欲しくなることでしょう。

ただ、そうじゃない場合は、下り帯域だけでいえばケーブルテレビやADSLでも問題ないかもしれません。LTEとかでは多大なストレスを感じることもあるかもしれません。

光ファイバーの種類

光ファイバーには種類があります。

自宅に光ファイバーを直接引き込めるならそれが絶対的にベストです

マンションで共有するようなタイプのものでは、他の利用者によって、クォリティが変化してしまいます。いわゆるマンションタイプのプランでは、一定の太さの回線を複数人で共有するため、特にタワマンのように人数が多いと確保できる帯域が実質的に細くなることが考えられます。

NTTフレッツ, au, NURO光など、どこの光ファイバーを引くかは、運が強く左右します。解約の手間、初期工事費、解約手数料などは確認した方がいいですが、それ以外の点、クォリティ面は運としか言いようがありません。地域によって差違がありすぎるので、どれを選んでも一定確率で満足か後悔のどちらかがあります。そういう意味では、解約の手間と手数料が決め手になるかもしれません。

10Gbps系のサービスを使うべきかは?考え方次第です。おそらく10Gbpsでも1Gbpsでも100Mbpsのどのサービスでも、日々の使い勝手はほとんど変わらないでしょう。光ファイバー直引きでさえあればプロバイダ選択をミスしなければどのサービスでもすでに過剰なくらい早いです。

ただ、最新のサービスの方が、新しい世代の機材など、いい物を引ける率は高いので、お金などの問題がなければ、最新のサービスを選ぶといいかもしれません。

いずれにせよ、いま光でない人は、光への乗り換えを積極的に検討して良いでしょう。ただし、光に切り替えるとしても、工事までに3週間からそれ以上かかりますし、月額の費用も一般には上がるでしょう。この状況ですから、工事が手配しづらく混雑している可能性もあります。

自宅内ネットワーク設備

光回線を引いた後、意外にバカにできないのがルーターです。最近だと、光回線を引いたときにONU(光回線終端装置)とセットになったルーターがレンタルされているでしょう。

もし、このルーターが10Gbpsサービスのものであればそのまま使えるはずです。もし100Mbpsサービスのように古いサービス、古い機材を使い続けてる場合は、別途ルーターを買うべきです。

インターネットと家を繋ぐ部分が光ファイバーにより高速化していても、家の中のネットワークが遅ければ意味がありません。この際、家の中の機材も更新しましょう。特に無線ルーターは金をかけるべきです。レンタルルーターの遅い無線をオフにしてしまいましょう。

レンタルじゃないちゃんとした無線ルーターは、アンテナの数が多い、処理速度が速いなどの特徴があるため、ノートパソコンなどWiFiで繋ぐときに真価を発揮します。また、可能な限りWiFiは 5GHz 帯域を使いましょう。2.4GHz帯域ではBluetoothや電子レンジやお隣さんと競合しやすく、接続がブチブチ切れるということが起こりやすくなります。

ネットワーク関係のTips

「VPNにつないだらSlackが見れないんですけど」

VPN接続時にOpenVPNを使用している場合、Macのユーザーだけ「VPNに接続するとZoom/Slackが使えなくなる」という声があがる時があります。

OpenVPNでは、VPN接続時にVPNを通して接続する通信(社内)と インターネットを経由して接続する通信を区別するために、 VPNサーバ側の設定でクライアントの 接続にルーティングを追加します。 11

WindowsのOpenVPNクライアントはVPNサーバのこの設定に従いルーティングの追加を行います。

Mac向けのOpenVPNクライアントTunnelblick12 の場合は、サーバ側のルーティングの設定とは 別にクライアントの接続の設定に「すべてのトラフィックをVPN経由で接続する」設定があるため、 デフォルトではVPNサーバ側のルーティング設定にかかわらず全ての通信がVPN経由になります。

このため、VPNサーバに向かった通信がインターネットに抜けていかないネットワーク構成の場合は、macOSのみ VPNに接続するとインターネットと通信するアプリケーションが動作しなくなり、エンドユーザーからは 「VPNに接続するとSlackが使えない」、という管理者からすると謎の訴えを受け取ることになります。

Tunnelblickの設定

この場合は、接続設定の「すべてのトラフィックをVPN経由で接続する」の設定のチェックが外れていることを確認します。

踏み台経由のssh経由接続

作業先のサーバにsshでリモートログインする際、いわゆる「踏み台」と呼ばれる途中に中継するサーバを経由する場合は、sshのクライアントの設定ファイル 13にProxyCommandを記述することにより、直接リモートログイン出来ます。

Host server1
  HostName 192.168.100.8
  User pi
Host server2-proxy
  HostName 192.168.100.18
  User pi
  ProxyCommand ssh -q -W %h:%p server1

Windows10でも標準で提供されているOpenSSHクライアントを使うことにより踏み台経由のssh接続を行う事ができます。ただし、WindowsのOpenSSHでは、ProxyCommandに記述するコマンドが「空白を含まないフルパス」14 でなければならない、という制約があります。このため。Windowsでは、sshのクライアントの設定ファイル 15にssh.exeへのパスをフルパスで記述します。

Host server1
  HostName 192.168.10.8
  User pi
Host server2-proxy
  HostName 192.168.10.18
  User pi
  ProxyCommand C:\Windows\System32\OpenSSH\ssh.exe -q -W %h:%p server1

httpプロキシサーバ経由のssh接続

SquidなどプロキシサーバにVPNなどを経由してアクセス可能な場合は、proxyサーバへのhttp接続を経由してssh接続できます。

プロキシサーバ経由でssh接続する場合は、httpのCONNECTメソッドを使用します。httpsの通信以外でCONNECTメソッドを使用可能にするために、Squidの設定ファイル(/etc/squid/squid.conf)に次の設定を追加します。

acl SSL_ports port 22
acl Safe_ports port 22

接続するクライアントでは、Tera Termの場合は「設定」→「プロキシ」の項目でプロキシサーバへの接続を設定してからリモートサーバに接続します。

Tera Termのプロキシ設定

macOSの場合は、HomeBrewからsshのプロキシツールであるcorkscrewをインストールした上で、sshの設定ファイルに次のように設定を行います。

Host server1
  User pi
  ProxyCommand corkscrew 192.168.100.20 3128 %h %p

リモートデスクトップ接続をセキュアにする

リモートワークしている場合に、Windowsサーバやデスクトップにリモートデスクトップでログインして作業を行う場合があります。Windowsのリモートデスクトップは、リモートデスクトップのポートにアクセスできればユーザーとパスワード認証のみでログイン可能なため、セキュリティ上脆弱な仕組みを抱えています。

ここでは、公開鍵認証を導入したOpenSSHサーバを経由してリモートデスクトップにアクセスすることにより、リモートデスクトップにセキュアにアクセスする仕組みについて述べます。

「セキュリティが強化されたDefenderファイヤウォール」の「受信の規則」の次の項目の設定を開きます。

  • リモートデスクトップ - シャドウ(TCP受信)
  • リモートデスクトップ - ユーザーモード(TCP受信)
  • リモートデスクトップ - ユーザーモード(UDP受信)

「スコープ」設定で、「リモートIPアドレス」の接続元に「127.0.0.1」を設定し、リモートからリモートデスクトップが接続できないようにします。

ファイヤウォールの設定(1)

ファイヤウォールの設定(2)

続いてOpenSSHサーバの設定を行います。

設定の「アプリと機能」→「オプション機能」からOpenSSHサーバをインストールします。

OpenSSHサーバのインストール(1)

OpenSSHサーバのインストール(2)

続いて公開鍵認証の設定を行います。

メモ帳を管理者権限で起動して、C:\ProgramData\ssh\sshd_config16パスワードでの認証を無効とする設定を追加します。

PasswordAuthentication no

続いて同じくメモ帳を管理者権限で起動して、作成した公開鍵を貼り付けてC:\ProgramData\ssh\administrators_authorized_keys に保存します。

WindowsのOpenSSHサーバの仕様として、公開鍵ファイルへの他のユーザーからの読み取り権限を削除する必要があります。エクスプローラーで以下の操作を行います。

  • C:\ProgramData\ssh\administrators_authorized_keys を右クリックして「セキュリティ」の「詳細設定」をクリック
  • 表示されたダイアログで「続行」をクリック
  • 「アクセス許可の変更」をクリック
  • 「継承されたアクセス許可をこのオブジェクトの明示的なアクセス許可に変換する」をクリック
  • 「Authencatied Users」へのアクセス許可を削除

公開鍵へのアクセス許可の設定(1)

公開鍵へのアクセス許可の設定(2)

公開鍵へのアクセス許可の設定(3)

公開鍵へのアクセス許可の設定(4)

公開鍵へのアクセス許可の設定(5)

最後に、サービスで「OpenSSH SSH Server」を起動すると、公開鍵認証でのSSHのポート転送を経由した接続でのみリモートデスクトップが可能になります。

サービスの起動設定

接続元のデスクトップからSSHでWindowsデスクトップに接続し、localhostのリモートデスクトップのポート(3389)にポート転送します。リモートデスクトップでポート転送の転送元のポート(この場合13389)にアクセスすると、SSHのポート転送を経由して、ファイヤウォールでアクセスを制限したリモートデスクトップにアクセスできます。

ポート転送の設定(Tera Termの場合)

ポート転送を経由したリモートデスクトップ接続

VPN依存環境からの脱却

そもそもVPNである必要があるのか

社内システムや開発環境でVPNを利用する理由の一つに以下が挙げられます。

  • アクセス制限

ただし、上記の対して下記のデメリットがあります。

  • トラフィックがVPNに集中し通信が不安定になりやすい

そもそもセキュリティ上完全に安全と言えるわけでもありません。 現在他に全く方法がない状態でもないので、メリット・デメリットを踏まえた上でVPNの利用を選択する方が良いかと思います。 ここからはVPNに依存しないアクセス制御の方法を列挙します。

Cloud Identity-Aware Proxy(以下、IAP)の利用

アプリケーションやサーバへのアクセスを制御したい方向け。 Google Cloud Platform(以下、GCP)を利用している(する)場合に限るのですが、IAPを利用することにより、クラウドとオンプレミスのアプリケーションとVMへのアクセス制御を行う事ができます。ユーザ毎に各アプリケーションやリソースへのアクセス権限を付与できます。またTCP転送を使えばSSHやRDPなどの管理サービスへのアクセスを許可するユーザーも制御できます。

Cloud SQL Proxyの利用

RDBへのアクセスを制御したい方向け。 Cloud SQLとはGCPの「MySQL、PostgreSQL、SQL Server用のフルマネージドリレーショナルデータベースサービス」ですが、このCloud SQLへのアクセスをCloud SQL Proxyを利用し制御することができます。利点としては

  • 安全な接続
    • プロキシは、TLS 1.2 と 128 ビット AES 暗号を使用して、データベースとの間で送受信されるトラフィックを自動的に暗号化します。
  • 簡単な接続管理
    • プロキシが Cloud SQL との認証を処理するので、静的な IP アドレスを提供する必要がなくなります。

[column] 無駄を削るということ

たとえばリモートワークがメインになれば、広いオフィスを契約する必要がなくなります。リモートワークの時代においては、オフィスの解約・縮小が捗ることになるでしょう。

無駄なことをやっているとリモートワークではパンクする傾向があります。

無駄な手続きがあれば面倒で仕事がしづらいだけです。代表的なものはハンコです。よっぽど仕事ごっこにしがみつきたいような会社・組織でなければ、今後はハンコ文化も最小限になることでしょう。

特に従量課金的なサービスを使っている場合は、どれだけ無駄を減らせるか?が大切になります。

[/column]

[column] 企業におけるハンコ文化について

企業において、とかく悪者にされがちなハンコ文化ですが、一応の擁護をしておきましょう。ハンコ文化滅ぶべし、という点についても、仕事ごっこである側面がほとんどである点についても異論はありませんが、ごく稀に妥当性がある場合があるんじゃよ、という話です。

まず、どういう時にハンコを押すか、という観点で見ると、基本的には承認や契約の証しとしてでしょう。契約も口頭で承諾することで成立はしますが、会社としては下っ端が口約束で勝手に物事を進めていくようではガバナンスとしてグダグダになります。特に知財や秘密保持契約などの重要な秘密を取り扱うような契約において、有利不利に著しく偏りがあるような契約を勝手に結ばれてはたまったものではありません。

そういう時に、然るべき人(例えば法務部門)がハンコを捺すことで、必ずそこを経由させるという形でチェック体制を確立するという意図があります。とはいえ、ガバナンスとの問題と、原紙でなくてはならない、というのは全く別問題です。原紙至上主義は滅ぶべし。

もう一つは、捺印することでその文書は有印私文書となり、偽造の場合の罰則が重くなります。有印私文書偽造は3ヶ月以上5年以下の懲役、単なる私文書偽造は1年以下の懲役または10万円以下の罰金、となるようです。

無駄な面は多いですし、必要なのかどうなのか、という点を再確認、棚卸することは必要ですが、ハンコ=無駄という短絡的思考に陥らず、本来の目的が何でそれを達成するためにどうあるべきかと考えることで、より良い形を模索できるでしょう。

[/column]

在宅勤務のアンチパターン集

臨時休校することが突然決まり、子育て世代からは悲鳴が上がっていました。これまでに例のない状況なので、リモートワークが急遽できるようになったけれど、環境や制度が整っておらず、アンチパターンに陥ったというケースをいくつか取り上げてみます。

セキュリティの境界線

会社からノートPCが支給され、VPN とリモートデスクトップで社内に接続します。セキュリティの問題でクラウドサービスは使えないため、人気のチャットツールであるSlackは利用できないことになっています。すべての連絡をメールでやりとりするのは大変なので、オープンソースの Rocket.Chat を使ってチャット環境を構築しました。自社内にオンプレミスで利用できます。

一方、Web会議にはZoomを使うことになりました。Skypeよりも通話が安定し、環境設定が不要だからということです。会社のPCから接続するとネットワークに負荷がかかるため、個人PCからZoomへのアクセスも許可されました。SlackはNGなのに、ZoomはOK?境界線がよくわかりません。

それ以外にも、自宅プリンターに接続するのは禁止とか、それなのに紙資料をコンビニなどでコピーするのは可(ただし、コピー時には紛失、覗き込みに注意しましょう、といった注意が回覧されました)とされたり・・・。言いたいことはわからないではないがどこまで実効的なんだろう?その意味は?と首をかしげる内容があったりもします。

またVPNの同時アクセス数の上限に達してしまい仕事にならないといったお粗末な状態もあります。リモートアクセスの接続は最低限にといった注意が飛び交うようになります。

なお、その後、半年ほど経過して、リモートアクセスの状況はだいぶ改善しました。ただし、1回のセッションの期限が3時間少々なのは変わりません。再接続すればよいといえばよいのですが、ネットなくても仕事できるじゃろ、と言われているようでなんとなくもにょります。

勤怠状況のエビデンス

上司に始業と終業のタイミングにメールで報告します。メールの送信時間がエビデンスとして残るので、送信したメールを印刷して提出するという運用方法になりました。紙で提出するために月初にわざわざ出勤しなければなりません。会社に信頼されていないのでしょうか?

就業連絡、成果連絡、日報

業務を始める時に、上司に「8:30、今日の業務を始めます、今日の予定は、データ整理、今度の会議の報告資料作り、レポート作成です」と一報入れ、終わったら、「17:00、今日は終わります。データ整理8割、資料作り完了、レポート完了」と一報。 あるあるじゃないでしょうか?

それって、意味ありますか?意味がないというより、なぜ在宅勤務になったら急にそんな儀式が始まるのでしょう?今までやってましたか?

もちろん、作業内容を朝決めることも、進捗を共有することも重要です。重要ですが、リモートワークだからそれをやる必要がある、というのは甚だ疑問です。

立場により在宅勤務ができるできないがある

立場というか、採用形態等により、在宅勤務ができたりできなかったりするという話があるようです。例えば、いわゆる総合職と一般職がある会社において、総合職は在宅勤務可能、一般職は原則出社とする、といった区別(差別?)がある例があります。あるいは同じフロアにいても、派遣さんは在宅NGとか。いろいろ闇がありますね。

あとは、上司の理解・方針次第で、有言無言の圧力があって出社せざるを得ないとか、何となく出社しないといけない雰囲気があるなど・・・なんのための在宅勤務でしょうね。

業務設計できる場合は在宅勤務可、という指定が入ることもあります。でもそれって結局どういうこと?

上司の許可がある場合は在宅勤務可。安全に対して上司の許可が必要?うーん。いろいろ謎というか、なんというか。

そして、これらのアンチパターンといえるものが割と普通にあるのが困ったところです。

子どもと仕事は無理ゲー

家族とずっと一緒に過ごすので、孤独は感じないのですが集中力が続きません。雨の日は外で体を動かすことができないので、家でリングフィットアドベンチャーをする我が子。「いいね!」「輝いてるよ!」とほめてくる横で働く私。子どもの勉強をみたり、昼食を用意したりする自分をほめてほしいですよね。

「とーちゃーん」「かーちゃーん」「パパー」「ママー」とTV会議中に走り込んでくる我が子。かわいいですし、見てる分にはなごみますが、走り込まれた本人はやっぱり気が気じゃないですよね。

それを防ぐために、ずっとテレビを見させておく、タブレット渡してYouTubeとかを見せておく。確かに効果は抜群なのですが、どう考えても嫌な感じです。YouTubeの中毒性は高いので、観れるなら観れるだけ見てしまいます。その結果、YouTuberっぽい(ウザい)しゃべり方になったり・・・数十年前にテレビの悪影響で日本語が崩壊する、なんていわれたこともありますが、親になるとやっぱりそれに近いものを実感してしまいます。

とはいえ、ずっと相手をしていることができないのも事実。せめて、Minecraftのようなモノづくりも学べるようなゲームをやっていてくれるならまだ気が楽ですから、そういった創作系のゲームをやっていてもらうとか、Scratchでプログラミングをやってもらうとか方法を考えたいものです。もっとも、言うは易し、いきなりやってみてもうまくいかないでしょうし、やっぱり親が教える必要があるかそもそも親もちんぷんかんぷんだったりして、実効性があるかというと怪しいところです。

最後に

通勤時間がなくなり、家族と過ごせる時間が増え、リモートワークしてよかったなと思う反面、対面で会話しないことによる認識のずれや、労務管理やセキュリティに対する課題があることがわかってきました。今回の状況を考慮しながら、会社や社会全体の取り組みが改善されていくことを期待しています。

Footnotes

  1. 1970年代に生まれた言葉ですが、現代で未だに使っているのは日本くらいで、総務省ワードです。詳しい歴史は https://en.wikipedia.org/wiki/Telecommuting を読むと分かるかもしれません。

  2. リモートワーク中心でやっていて、人々がギスギスした事例を見ています……。

  3. ビデオ通話もできますが、映像はどっちでもいいと思います。

  4. https://discord.com/

  5. Slackの場合、課金しなければ、発言は最新1万件しか参照できません。課金すればそれらの参照も可能です。ただ過去の発言は探しづらいという問題もあります。

  6. オンボーディングとは新しいメンバーが必要な知識・情報・スキル・行動などを習得できるようにすることで、もう少しわかりやすくいうとチームに馴染んで仕事を回せるようにすることです。1970年代のアメリカで生まれた単語ですが、最近日本で流行りの人事用語です。

  7. https://www.qnap.com/qts/4.5.1/ja-jp

  8. 荷物が届いたり、出前が届いたりしたときにこまるかもしれません……。そういうときはお気をつけを。

  9. https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/jirei_toukei/anzen_eisei/toukei/anzen-vdt.html

  10. 2020年5月2日

  11. https://openvpn.net/community-resources/setting-up-routing/

  12. https://tunnelblick.net/

  13. デフォルトではホームディレクトリー配下の .ssh/config

  14. Windows10の次のアップデート(May 2020 Update)で解消予定です。

  15. デフォルトでは%USERPROFILE%.ssh\config

  16. %ProgramData% をカスタマイズしている場合は読み替えてください